AI for Low-frequency Data
メンバー
中村
概要
大規模言語モデル(LLM)を用いたアンケート調査のシミュレーションにおいて,モデルが持つ多様な価値観を適切に抽出することは重要な課題です.従来のプロンプトによる明示的な属性指定(ペルソナ指定)では,回答が中立的なものに収束しやすく,人間の複雑な価値観の差異を十分に再現できないという限界があります.本研究では,この課題を補完する新たなアプローチとして,日本語特有の「特定の属性を想起させる口調(役割語)」に着目し,それがLLMの回答分布に与える影響を検証しました.分析の結果,口調指定による回答の変化は明示的な属性指定よりも一貫して小さく,現段階ではその実用的な効果が限定的であることが確認されました.一方で,回答変化の方向性はペルソナ指定と一致しており,口調がモデルの潜在的な価値観にアクセスしている可能性も示唆されています.今後の実験設計の改善を通じて,役割語の有効性をさらに精査していく予定です.

